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東京地方裁判所 昭和53年(ワ)5255号・昭55年(ワ)5494号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

五ついで、被告が原告会社に対して請求する債権について検討してみる。

前認定の事実によると、原告会社は、昭和四七年二月一八日、不渡手形を出して銀行取引停止処分を受け、このことにより原告会社と訴外銀行との間の本件貸付金債務の総額が確定したため、被告は、同年五月二日、本件貸付金債務金二八四三万五八〇六円を訴外銀行に対して支払つたことにより、訴外銀行に代位して、本件請負代金債権を取得するとともに、本件代位弁済にかかる額と同額の原告に対する本件求償債権を取得したということができる。すなわち、

<証拠>ならびに弁論の全趣旨とを合せ考えると、原告会社と訴外銀行との間で、昭和四六年一一月三〇日に、金銭消費貸借契約が締結されたが、その当時、被告は、原告会社の代表取締役の地位にあつたこと、そして、原告会社の右金員の借入れは、同社の運転資金を得るためであり、被告もその事情を知つていたこと、そのこともあつて、被告は訴外銀行との間で、原告会社の債務につき、連帯保証をなしたものであることが認められる。右認定の事実によると、訴外銀行に対する保証人である被告は、主債務者たる原告会社の訴外銀行に対する債務につき、連帯保証をなすについて、保証人として、原告会社の委託を受けて保証をしたと認めるのが相当であり、そうすると主債務者たる原告会社と保証人たる被告の間の法律関係は、いわゆる委託関係というべきであるから保証人たる被告の求償権はその性質上委託事務処理に要する費用償還請求権にあたるということができる。

六<省略>

七そこで、原告会社は、被告から原告会社に対する求償債権は、五年間の短期消滅時効により消滅し、従つて被告は代位の目的となつた本件請負代金債権をも喪失した旨主張し、被告は、本件請負代金債権は本件代位弁済により消滅しているからその消滅時効を論ずることはできず、本件供託についての還付請求権の消滅時効を論ずるべきであると反論するので、検討する。

1 原告会社は商人であるところ、訴外銀行と被告との間で締結された本件保証契約は、商人であり、主債務者たる原告会社の委託に基づいてなされたものであるから、連帯保証人である被告が商人でなくても、右の保証委託が主債務者である原告会社の営業のためにするものと推定され、商行為とされる結果、本件保証委託契約の当事者である原告会社と被告双方に商法の規定が適用されるものと解される。そうだとすると、商人でない連帯保証人である被告がした訴外銀行に対する本件代位弁済自体は、商行為にあたらないとしても、被告から原告会社に対する右の求償債権は、被告において、被告と原告会社との間の保証委託契約の履行として、連帯保証人の立場において、主債務者である原告に代わつて弁済したことによつて生ずるものであること、商法五二二条所定の「商行為ニ因リテ生シタル債権」、いわゆる商事債権とは迅速に結了することを尊重する商取引の要請によつて設けられたことを合わせ考えると、被告から原告会社に対してする本件求償債権は、結局、商法五二二条所定の商事債権として同法の短期消滅時効の規定の適用を受けるものと解するのが相当である(最高裁判所第二小法廷昭和四二年一〇月六日判決民集二一巻八号二〇五一頁参照)。

2 そうすると、本件代位弁済がなされた日は昭和四七年五月二日であることは当事者間に争いがないから、同日から消滅時効が進行し、その翌日から起算すべきこととなるところ、昭和五二年五月二日の経過により五年が経過したことは明らかであるから、同日をもつて本件求償債権が消滅時効によつて消滅すべきこととなる。

また、原告が昭和五三年六月一七日に被告に本訴状を送達し、本訴状によつて右の消滅時効を援用する旨の意思表示をしたことは、記録上明らかである。

(小野寺規夫 中田昭孝 升田純)

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